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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (下)(いちかわくめはち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 頁
彼女は、どうかすると早起をして、台所に出たり、部屋の大掃除をしたり、菜漬をつけたりする。と思うと、戸山が原へ、銀のような色の月光を浴びにいったりする。「別れたる妻に送る手紙」という小説を書いた、近松秋江氏に同情して、この人のロストラブの哀史を、同情をもって読んでみようと思うといったりしていた。
立場の違う苦しみに、互に、弄り殺しのような日をおくりながら、二人の相愛の気持ちは日々に深まっていったのだった。日記をつけるのにも、岩野氏とか、泡鳴氏とか書いたのが、「君」となったが、三月ばかりするうちに、主人という字になった。
「あの女って、随分失礼な女だ。不作法ったってなんだって、教養のある婦人だというのに、いつだって案内もなしで、いきなり上りこんでくるなんて我慢が出来ない。」
彼女は先妻の幸子が、いつもの癖で、ずかずか上り込んで来て、例のくせで、朝、起きはぐれているところを、荒い足音で、わざと目をさまさせられたのを憤った。
中学教師をしていた時代の泡鳴と、女学校教師だった幸子とは、泡鳴が樺太へ蟹の事業をはじめる前に別れたのだが、清子は友人同棲をはじめてからも、幸子に同情して、泡鳴に復帰するようにさえ勧めたこともある。