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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (下)(いちかわくめはち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 頁
昭和二年ごろだった。掠屋が――商業往来にもない、妙な新手のものが、階級戦士ぶってやって来ていうには、
「九条武子さんとこへいったら、ちゃんと座敷へ通して、五円くれた。」
それなのに、五十銭銀貨ひとつとは、なんだというふうに詰った。女というものはそういったらば、まけずに五円だすとでも思っている様子なので、
「あちらには、阿弥陀さまという御光が、後にひかっていらっしゃるから、お金持ちなのだろう。われわれは、原稿紙の舛目へ、一字ずつ書いていくらなのだから、お米ッつぶ拾っているようなもので、駄目だ。」
と断わったことがあったが、吉井勇さんが編纂した、武子さんの遺稿和歌集『白孔雀』のあとに、柳原子さんが書いていられる一文に、
――ある日のことだった。思想のとても新らしい若い男が、あの方と話合った事があった、その男の話は常日頃そうした話に耳なれていた私でさえ、びっくりさせられるようなことを、たあ様の前でべらべらとしゃべった。それにあのたあ様は眉根一つ動かさずにむしろその男につりこまれたかのように聞いておられた。そしてその男の話に充分の理解と最も明晰な洞察をもって、今の社会の如何に改造すべきや、現内閣の政治上の事に至るまで、とても確かな意見を出して具合よく応答されたのには聞いていた私が呆れた。