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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (下)(いちかわくめはち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 頁
また、それでなければ、新婚三月の新夫人をかえしてしまって、滞欧十年、子までなさせて、そこの水に親しんではいられないはずだ。
三年たった。ここいらから武子さんが、麗わしい武子だけでなく、同情と、人気とその人のもつ才能とが一つになって、注目される婦人となった。武子さんはいよいよ光り、良致さんはよく言われなかった。
空閨を守らせるとは怪しからん。と、よく中年の男たちが言っていた。操持高き美しき人として、細川お玉夫人のガラシャ姫よりももっと伝説の人に、自分たちの満足するまで造りあげようとした。
この間も、斎藤茂吉博士の随筆中に、武子夫人が生ていられたうちは書かなかったがと、ある田舎へいったら、砂にとった武子さんのはいせき物を見て、ふといふといと下男たちが笑っていたということを記されたが、そんなばかげた事もおこるほど、よってたかって窮屈な型のなかへ押込んでいった。
三
武子さんの第一歌集『金鈴』を、手許においたのだが、ふととり失なってしまって、今、覚えているのは、思いだすものよりしかないが、
ゆふがすみ西の山の端つつむ頃ひとりの吾は悲しかりけり