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くうきぽんぷ

新美南吉童話集 2 おじいさんのランプ

新美 南吉

線上閱讀新美 南吉《新美南吉童話集 2 おじいさんのランプ(くうきぽんぷ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 41,209 字 · 85 頁

青空文庫

耳

一

一

ある晩、久助君は風呂にはいっていた。晩といっても、田舎で風呂にはいるのは暗くなってからである。風呂といっても、田舎の風呂は、五右エ門風呂という、ひとりしかはいれない桶のような風呂である。

久助君は、つまらなそうに、じゃばじゃばと音をさせてはいっていた。風呂の中でハモニカをふくことと、歌をうたうことは、このあいだお父さんから、かたく禁じられてしまったのである。「風呂の中でハモニカをふいたり、鼻歌をうたったりするようなもんは、きっとうちの屋台骨をまげるようになる」とお父さんはいった。久助君は、加平君ところの牛小屋が、いぜん、だんだん傾いてきて、壁がかえるの腹のように外側にふくれ、とうとうある日つぶれてしまったのをよく知っていたので、自分の家があんなふうになるのはかなわないと思って、ハモニカも歌もやめてしまったのであった。

ハモニカと歌をとりあげられてしまうと、風呂は、久助君にとって、おもしろくないことであった。何もすることがなかったのだ。

そこで久助君は、何か一つ考えてみることにした。

しかし考えというものは、さあ考えようといったって、たやすくうかんでくるものではない。