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なかじきり

日本の文学 2 森鴎外(一)

森 鴎外

線上閱讀森 鴎外《日本の文学 2 森鴎外(一)(なかじきり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,092 字 · 45 頁

青空文庫

「食事のいいときはそういってくれ」

給仕は引っ込んだ。

女は傘を無造作にソファの上に投げて、さも疲れたようにソファへ腰を落して、卓に両肘をついて、だまって渡辺の顔を見ている。渡辺は卓のそばへ椅子を引き寄せてすわった。しばらくして女がいった。

「たいそう寂しいうちね」

「普請中なのだ。さっきまで恐ろしい音をさせていたのだ」

「そう。なんだか気が落ち着かないようなところね。どうせいつだって気の落ち着くような身の上ではないのだけど」

「いったいいつどうして来たのだ」

「おとつい来て、きのうあなたにお目にかかったのだわ」

「どうして来たのだ」

「去年の暮からウラヂオストックにいたの」

「それじゃあ、あのホテルの中にある舞台でやっていたのか」

「そうなの」

「まさか一人じゃああるまい。組合か」

「組合じゃないが、一人でもないの。あなたもご承知の人が一しょなの」少しためらって。「コジンスキイが一しょなの」

「あのポラックかい。それじゃあお前はコジンスカアなのだな」

「いやだわ。わたしが歌って、コジンスキイが伴奏をするだけだわ」

「それだけではあるまい」

「そりゃあ、二人きりで旅をするのですもの。