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にほんたんていしょうせつかいすんぴょう
日本探偵小説界寸評
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《日本探偵小説界寸評(にほんたんていしょうせつかいすんぴょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,856 字 · 12 頁
材と舞台を海外に執るのも、探偵小説としては相応しく、何等の不自然をも感じさせない。一本調子に事件を追い、細い心理の解剖に頭の良さを誇るというより、三十枚足らずの短篇の中へ、複雑多様の筋を罩め、それを穏かに解きながら、音楽も聞かせ色彩も見せ、興味本位の探偵物ながら、芸術的表現をも忘れない。というのが同氏の特色である。従って作風は強くはないが、その代り快い諧謔がある。震災直後「秘密探偵雑誌」は不幸廃刊を見たけれど、ふたたび勇気を揮い起こし、「探偵文芸」を発刊したのは、斯界に執っても幸福である。
「鮭」の作者本田緒生と「蒔かれし種」のあわじ生とは、異名同人だということである。一夕の会合二時間ばかりの間に、十言ぐらいは喋舌ったろうか、借りて来た猫のように穏しい氏に「蒔かれし種」というような、力強い作があろうとは、洵に意外と云わざるを得ない。印刷にして六十六頁、随分長い作だのに倦ませずに大団円迄読ませたは立派な手腕と云わざるを得ない。本流と傍流とを着かず離れず、交互に巧に縫い合わせ、単純な事件を複雑に見せ、秘密を最後まで保ったのも、粘着力が強いからである。とはいえ前後四回まで使った「強迫文」