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にほんたんていしょうせつかいすんぴょう

日本探偵小説界寸評

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《日本探偵小説界寸評(にほんたんていしょうせつかいすんぴょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,856 字 · 12 頁

青空文庫

三

は失敗である。作者も夫れを自覚しているのか、文中に於て自笑しているが、その自笑があるために愈々力弱くなった。

奎運社経営者の中野圭介氏が、その営業の片手間に、探偵小説に筆を着けたのは、精力過剰の結果でもあろうか、結構といえば結構でもあるが、その出来栄に至っては、大して感心もせられない。例えば「真珠の首飾」にしても、有りそうな事件を取り扱い乍ら、拵え物としか思われないのは、その把握力が弱いからで、キメの荒い散文的の描写は、そうでなくてさえ非審美的の、探偵小説というものを、一層ぞんざいに墜し入れている。そうは云っても此人の作は、どれを読んで見ても純日本的、下町風の味があって、一特色をなしている。

三

森下雨村、保篠龍緒、阿部誠太郎、坂本義雄、天岡虎雄、牧逸馬、浅野玄府、鳥井零水、若目田三郎、和気律次郎、田中早苗、松村博三、長谷川次郎、水田銀之助、吉田両耳、梶原信一郎、吉田夏村、妹尾韶夫、延原謙、星野武夫、春日野緑、水上規矩夫、平野威馬雄、横溝正史、西田政治、甲賀三郎、愛知博、等、々、々、寥々たる創作家と比較して、何んと翻訳家は多いことだろう。そうして皆何んと上手なのだろう、この人々の努力に由って、欧米諸作家の名作が、次々に邦語に移植され、揺籃時代の探偵小説界が、啓発されるということに就いては、お礼を云っても可