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ファルスについて
日本文化私観 坂口安吾エッセイ選
線上閱讀坂口 安吾《日本文化私観 坂口安吾エッセイ選(ファルスについて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,974 字 · 47 頁
大阪の反逆
将棋の升田七段が木村名人に三連勝以来、大阪の反逆というようなことが、時々新聞雑誌に現われはじめた。将棋のことは門外漢だが、升田七段の攻撃速度は迅速意外で、従来の定跡が手おくれになってしまう(時事新報)のだそうで、新手の対策を生みださぬ限り、この攻撃速度に抗することができないだろう、と云う。新らたなるものに対するジャーナリズムの過大評価は見なれていることだから、私は必ずしもこの評判を鵜のみにはしないが、伝統の否定、将棋の場合では定跡の否定、升田七段その人を別に、漠然たる時代的な翹望が動きだしているような気がする。
織田作之助の二流文学論や可能性の文学などにも、彼の本質的な文学理論と同時に、この時代的な翹望との関聯が理論を支える一つの情熱となっているように思われる。
織田は坂田八段の「銀が泣いてる」に就て述べているが、私は、最初の一手に端歩をついたという衒気の方が面白い。第一局に負けて、第二局で、又懲りもせず、端歩をついたという馬鹿な意地が面白い。
私はいつか木村名人が双葉山を評して、将棋では序盤に位負けすると最後まで押されて負けてしまう。名人だなどと云っても序盤で立ちおくれてはそれまでで、立ち上りに位を制することが技術の一つでもあり名人たるの力量でもあるのだから、双葉の如く、敵の声で立上り、敵に立上りの