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ファルスについて
日本文化私観 坂口安吾エッセイ選
線上閱讀坂口 安吾《日本文化私観 坂口安吾エッセイ選(ファルスについて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,974 字 · 47 頁
新しきものを憎むのはただその古きに似ざるが為であって、物の実質的な内容に就て理解すべく努力し、より高き真実をもとめる根柢の生き方、あこがれが欠けている。これの卑小を省る根柢的な謙虚さが欠けているのだ。わが環境を盲信的に正義と断ずる偏執的な片意地を、その狂信的な頑迷固陋さの故に純粋と見、高貴、非俗なるものと自ら潜思しているだけのこと、わが身の程に思い至らず、自ら高しとするだけ悪臭芬々たる俗物と申さねばならぬ。
大阪の市民性にはかかる江戸的通念に対して本質的にあべこべの気質的地盤がある。たとえば、江戸趣味に於ては軽蔑せられる成金趣味が大阪に於てはそれが人の子の当然なる発露として謳歌せられる類いであって、人間の気質の俗悪の面が甚だ素直に許容せられている。
織田が革のジャンパーを着て、額に毛をたらして、人前で腕をまくりあげてヒロポンの注射をする、客席の灯を消して一人スポットライトの中で二流文学を論ずる、これを称して人はハッタリと称するけれども、こういうことをハッタリの一語で片づけて小さなカラの中に自ら正義深刻めかそうとする日本的生活の在り方、その卑小さが私はむしろ佗びしく、哀れ悲しむべき俗物的潔癖性であると思うが如何。