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ファルスについて
日本文化私観 坂口安吾エッセイ選
線上閱讀坂口 安吾《日本文化私観 坂口安吾エッセイ選(ファルスについて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,974 字 · 47 頁
織田が可能性の文学という。別に目新らしい論議ではない。実はあまりにも初歩的な、当然きわまることなので、文学は現実の複写ではないという、紙の上の実在にすぎないのだから、その意味では嘘の人生だけれども、かかる嘘、可能性の中に文学本来の生命がある、という。文学は人性を探すもの、より良き人生をもとめるものなのだから、可能性の中に文学上の人生が展開して行くのは当然なことで、単なる過去の複写の如きは作文であるにすぎず、文学は常に未来のためのものであり、未来に向けて定着せられた作家の目、生き方の構えが、過去にレンズを合せたときに、始めて過去が文学的に再生せられる意味をもつにすぎない。
大阪の性格は気質的に商人で、文学的には戯作者の型がおのずから育つべきところであるから、日本文学の誠実ぶった贋物の道徳性、無思想性に、大阪の地盤から戯作者的な反逆が行われることは当然であったろう。
然し、大阪的な反逆というのは、まことに尤もなようで、然し、実際は意味をなさない。ともかく大阪というところは、東京と対立しうる唯一の大都市で、同時に何百年来の独自な文化をもっている。おまけに、その文化が気質的に東京と対立して、東京が保守的であるとすれば、大阪はともかく進歩的で、東京に懐古型の通とか粋というものが正統であるとすれば、大阪は新型好み