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ファルスについて
日本文化私観 坂口安吾エッセイ選
線上閱讀坂口 安吾《日本文化私観 坂口安吾エッセイ選(ファルスについて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,974 字 · 47 頁
純文学の純の字はそういう素朴な魂を拒否せよという意味ではない。ただ、如何に生くべきか、思想というものが存している、その意味であり、それに並存して、なるべく多くの魂につながりたいという戯作者がいる。あらゆる人間の各々のいのちに対する敬愛と尊重といたわりは戯作者根性の根柢であり、小説の面白さを狙うこと自体、作者の大いなる人間愛、思想の深さを意味するものであることを知らねばならぬ。
孤高の文学という。然し、真実の孤高の文学ほど万人を愛し万人の愛を求め愛に飢えているものはないのだ。スタンダールは、余の小説は五十年後に理解せられるであろうと、たしかに彼はそう書いている。然し、それだけが彼の心ではない。彼はただちょっと口惜しまぎれに、シャレてみただけだ。五十年後の万人に理解せられるであろう、と。五十年後でなくたって、構わないにきまっているのだ。
日本文学は貧困すぎる。小説家はロマンを書くことを考えるべきものだ。多くの人物、その関係、その関係をひろげて行く複雑な筋、そういう大きな構成の中におのずと自己を見出し、思想の全部を語るべきものだ。
小説は、たかが商品ではないか。