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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

線上閱讀長谷川 時雨《旧聞日本橋(きゅうぶんにほんばし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 158,045 字 · 322 頁

青空文庫

私は母の金をかりて納めます。」

裁判官「さようか。」

嘘でない、それですんだのだといっているが、そんなばかなはずはない。それに吉原の方では、金は吉原から出して決して不自由をさせないからと言って来たが、とうとう出さないで済んだといっている。しかし父は秀造さんを自首させたそうだ。すこしばかり未決にいて放免になったがこの事件は被告が無罪になるまでにはかなりの骨折だったので、吉原では私の父でなければならないように大事にした。

またその頃でもあろうか、吉原に娼妓の自由廃業があった。これは恥かしい事に父が楼主の方の味方をして勝たせた不名誉な事件だ。勝ったときくと、全国の女郎屋からおなじような訴訟を頼んできた。母は欲張って商業繁昌だとよろこんだが、父は断わって、あれは、あの事件が最後になるもので、もう法律が変るといって諭めたそうだ。私はいまこれらの事をよくきいておかなかったのを悔んでいる。娼妓解放と、この自由廃業とのことについて耳にとめておいたらば、もすこし報告的なことが書けたであろうに――

ともあれ金兵衛さんの生活は豪華だったものに違いない。私がもっている古裂れに、中巾の絹縮みに唐人が体操をしている図柄の更紗がある。