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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《旧聞日本橋(きゅうぶんにほんばし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 158,045 字 · 322 頁
それを一巻もって来て、私の着物の無垢に仕立たのも金兵衛さんの秀造おじさんである。六代目菊五郎の幼時にも、横浜からおなじ柄の着物をもらったというので、いつぞや裂地をくらべて見たが、秀造おじさんの手に入れたのの方が上等品であった。その他に、好事な手だんすだとか、古い竹屋町裂れでつくった茶ぶくさ入れだとかみな大名道具であった。私の父はよくいった。他人の泣きを悦こぶ不浄な銭で買ったのだと。――
秀造さんの兄弟は、かなり有名な人たちであった。沼間守一という刑法学者、銀行家の須藤、代言人の高梨哲四郎――この人は長髪で騎馬へ乗り歩くので有名だった。その頃の代言人(弁護士)は長髪の人が多かったが、高梨は白皙美貌、長髪がよく似合った。
清水異之助さんは、秀造さんの妹を細君にして、横浜で外国商館の番頭と通弁をかねていた。この人は坂東しうか(今の中村吉右衛門のお父さん歌六の弟のしうかではない、もう一代前の有名な役者)と、品川の土蔵相模という妓楼の娘との仲に出来た子だという。
ある日、あんぽんたんの家の前に近所の人たちが立っていた。その人だかりの中には、日ごろは外などへ出たこともない大問屋の内儀たちも交っている。