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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
線上閱讀坂口 安吾《明治開化 安吾捕物(めいじかいか あんごとりもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 32,242 字 · 65 頁
「私は六段格で。ヘッヘ」
と、甚八はさッさと白をとった。神田の甚八といえば江戸名題の賭碁のアンチャン。本職は大工だが、碁石を握ると素人無敵、本因坊にも二目なら絶対、先なら打ち分けぐらいでしょうなとウヌボレのいたって強い男。川越くんだりへ来て、手を隠すことはない。
武州川越在の千頭津右衛門といえば、碁打の間には全国的に名の知れた打ち手。名人上手に先二なら歩があるという評判であった。礼を厚うして各家元の専門棋士を招き、棋力は進んで五段格を許されていた。諸国の碁天狗どもが参覲交替で上京の折に盛名をきいて手合いに訪問すると、大そうなモテナシをうけるのはいいが、みんなコロコロ負かされてしまう。とうてい敵ではない。津右衛門の棋力は旦那芸にあらず、実力五段充分と諸国の碁打に折紙づきの評判が二十年もつづいて、各家元の打手をのぞいて、田舎棋士の筆頭に押されている達人であった。しかし甚八は怖れない。江戸の素人天狗なら三目置かせて総ナメにしてみせらアと猪のように鼻息の荒い奴だが、棋力はたしかに素人抜群、専門棋士の二段ぐらいの腕はあった。
金にあかして家元の棋士にチヤホヤと買いとった五段格。