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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(一)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 158,540 字 · 319 頁
おまけに横合いからお俊のように偽迎いがあらわれた為に、事件はますます縺れてしまった。
そのわけを聴いてみると、半七も気の毒になった。子ゆえに狂う母の心と、その母を取り鎮めようと努めている家来どもの苦心と、それに対しても余りに強いことも云われない破目になった。
三畳の隠れ家からお蝶はそろそろ這い出して来た。かれは貰い泣きの眼を拭きながら云った。
「これで何もかも判りました。阿母さん、わたくしのような者でもお役に立つなら、どうぞそのお国へやってください」
「え。ほんとうに承知して行ってくださるか」と、雪野はお蝶の手をとって押し頂かないばかりにして礼を云った。
明月は南の空へまわって来て、庭から家のなかまで一ぱいに明るく映し込んだ。
「おふくろもとうとう承知して、娘を奉公にやることに決めましたよ」と、半七老人は云った。
「それから又話が進んで来て、いっそ阿母も一緒に行ったらどうだということになりました。江戸には近しい親戚も無し、自分もだんだんに年をとって来るもんですから、お亀も娘のそばに行った方が好いという料簡になって、世帯をたたんで一緒に遠いお国へ行きましたよ。