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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(三)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 201,612 字 · 405 頁
そのなかの一人が首を取られたとすれば、すぐにも知れる筈である。かれらの方でも黙っている筈がない。かのヒュースケンの暗討ち一件をみても判ったことで、彼等からは幕府にむかって厳重の掛け合いを持ち込んでくるに相違ない。それが今に至るまでなんの音沙汰もないのをみれば、その首の持ち主が江戸在住のものでないことは容易に想像された。
「それじゃあ横浜かな」
半七は自分の意見をのべて、奉行所の許可をうけて、その月の二十一日に江戸を出発することになったので、お粂は兄嫁を花見に誘い出すどころではなかった。却って自分が神田三河町の兄の家へ見送りに来なければならなくなった。横浜までわずかに七里と云っても、その頃ではやはり一種の旅であった。
「兄さん。御機嫌よろしゅう。途中も気をつけてね」
その声をうしろに聞きながら、半七は子分の松吉をつれて朝の六ツ半(午前七時)頃に神田三河町の家を出た。ほかの子分たちも高輪まで送って来た。この頃は毎日の晴天つづきで、綿入れの旅はもう暖か過ぎるくらいであった。品川の海の空はうららかに晴れ渡って、御殿山のおそい桜も散りかかっていた。
「親分。今頃の旅はようがすね」