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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(三)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 201,612 字 · 405 頁
ことに自分の生みの子が当主となったので、猶更それを世間に知られることを憚って、表向きは音信不通にすごしていたが、さすがは叔母甥の人情で、時々にそっと紋作をよび寄せて、幾らかの小遣いなどを恵んでくれた。紋作もいい叔母をもったのを喜んで、ときどきには自分の方からも押し付けの無心に行った。しかし叔母から堅く口止めをされているので、かれは叔母の身分も居どころも決して人には洩らさなかった。
これで紋作と叔母との関係はわかったが、その下屋敷は根岸の方角とばかりで、屋敷の名は紋七も知らないと云った。その上には詮議のしようもないので、半七はひと先ず紋七を帰してやった。定吉も叱られただけで、主人の家へ帰された。
紋作の葬式は、あくる朝の五ツ半(午前九時)に小間物屋の店を出た。ともかくも芸人であるだけに、相当の会葬者がその時刻の前から店先へあつまっていると、大きい霰がその頭の上にはらはらと降った。半七も子分の庄太を連れて、その群れにまじっていた。
「ごめんなさい」
霰のなかをくぐって一人の若い男が急いで来た。かれはお浜の母を呼び出して何かささやくと、お直は更に紋七を呼んで来た。