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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(三)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 201,612 字 · 405 頁
山の手の人たちは知らないでしょうけれども、わたくしは前からこのおとくという奴に目をつけていましたが、まだ年の行かない小娘だからと思って、まあ大目に見逃がして置いてやると、こんな飛んでもない騒ぎを仕出来してしまったんです。それですから、辻番でその死骸をみせられた時に、わたくしは一と目でその身もとを覚って、すぐにその同類を探させたので、訳なしに埒が明きました。三人の隠れ家は渋谷のおさん婆という女の家でした。この婆がまた悪い奴で、表向きは駄菓子屋をしていながら、この娘三人を引き摺り込んで、盗んで来た品物をほかへ捌いてやって、中途でうまい汁を吸っていることが露顕したので、これも一緒に召し捕られました。一体ここらは昔から蛇なんぞの多いところでしたが、この一件以来、その空屋敷を蛇屋敷と云い出して、明治になるまで誰も住んでいなかったようです」
老人の話が済んだ頃から、空はだんだんに薄明るくなって来たが、風は死んだように吹かなくなった。風通しのいいのを自慢にしているこの六畳の座敷も息苦しいように蒸し暑くなって、遠い空では時々に雷の音も低くきこえたが、ここへは夕立を運んで来そうにも見えなかった。