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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(三)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(三)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 201,612 字 · 405 頁

青空文庫

何者かが彼等より先に死骸を掘り出して、熊の胆を盗み去ったのであろうという説明を聞かされて、彼はいよいよ驚いてがっかりした。四郎兵衛も失望したような顔をして帰った。六三郎もその盗人の疑いを品川の伝吉と車力の百助とにかけて、すぐに二人を詮議したが、彼等はなんにも知らないと云った。いくら、真っ紅になって云い合っても、所詮は水掛け論で果てしが付かなかった。かれら三人の所得は伝吉の手に渡された熊の皮一枚に過ぎないことになってしまった。

四

六三郎が伝吉と百助とを疑うと同時に、ふたりの方でもまた六三郎を疑っているので、彼等のあいだには自然に仲間割れが出来た。伝吉はかの生皮を鞣してしまったが、なんとか理窟をつけていて、素直にそれをこっちへ渡そうとしないので、六三郎は腹を立てた。熊の皮一枚が一体いくらの価をもっているものか、六三郎もよく知らなかったが、ともかくも折角の獲物を彼等ふたりに着服されるのは、あまりに忌々しいと思ったので、かれは車力の百助のところへ度々催促に行って、しまいには腹立ちまぎれに喧嘩をして帰った。すると、ゆうべになって彼の百助は熊の皮を持って六三郎の家へたずねて来た。