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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(三)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(三)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 201,612 字 · 405 頁

青空文庫

これだけの材料を土台として、自分が直接に調べあげて見なければ気が済まないので、澹山はここで年を越すことにした。千倉屋ではいよいよ鄭重に取り扱ってくれた。

十一月になって雪のふる日が多くつづいたので、澹山はこのあいだに彼の千之丞から頼まれた掛物を仕上げてしまおうと思い立って、再び絵筆を執りはじめると、不思議にその西王母の顔が、かのマリアの顔に肖てくるので、彼は自分ながら怪しく思った。幾度かき直しても絵絹の上にはマリアの顔が、ありありと浮き出して来るので、彼は自分もいつの間にか切支丹の魔法に囚われてしまったのではないかと疑った。そうして、千之丞からいくら催促をうけても当分は絵筆を持たないことに決めて、かれは雪の晴れ間を待って城下を毎日出あるいた。伝兵衛のあつめてくれた材料が彼に非常の便利をあたえたので、探索は思いのほかに容易くはかどって、小さいお家騒動の秘密は伝兵衛の報告と違いないことが確かめられた。澹山は一々それを薄い雁皮紙に細かく書きとめて、着物の襟や帯の芯のなかに封じ込んだ。

秘密の絵像を描いているあいだは、父からも厳しく云い渡されていたのであろう。