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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(三)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 201,612 字 · 405 頁
真っ蒼になって牽かれて来た徳三郎は、たしかに大川端で出逢った若い男であった。
「おい、徳三郎。おれの顔を識っているか」
徳三郎は無言で頭を下げた。
「おれはまだ見ねえが、殺した女は河内屋のお熊だろう。とんでもねえことを仕出来しゃあがった。手前なんで女を殺した。素直に申し立てろ」
「親分さん。それはお目違いでございます」と、徳三郎は喘ぐように云った。「わたくしは決して女を殺しは致しません。お熊は自分で乳の下を突きましたのでございます。わたくしが慌てて刃物をもぎ取りましたけれど、もう間に合いませんでございました」
「その短刀は女が持っていたのか」
「いいえ、わたくしの品……」と、徳三郎は云いよどんだ。
「はっきり云え」と、半七は叱った。「てめえの短刀をどうして女に渡したんだ。てめえもまた商売柄に似合わねえ、なんで短刀なんぞを持っているんだ」
「はい」
「何がはいだ。はいや炭団じゃ判らねえ。しっかり物を云え。お慈悲につめてえ水を一杯のましてやるから、逆上せを下げた上でおちついて申し立てろ。いいか」
善八が持って来た茶碗の水を飲みほして、徳三郎は初めて一切の事情をとぎれとぎれに申し立てた。