輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(三)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 201,612 字 · 405 頁
お駒は寝床のなかで絞め殺されていたのであった。それは中引け過ぎの九ツ半(午前一時)頃で、その晩のお駒の客は三人あったが、本部屋へはいったのは芝源助町の下総屋という呉服屋の番頭吉助で、かれは店者の習いとして夜なかに早帰りをしなければならなかった。いつもの事であるから相方のお駒も心得ていて、中引け前にはきっと起して帰すことになっていたのであるが、その晩はお駒も少し酔っていた。吉助も酔って寝込んでしまった。吉助は夜なかにふと眼をさまして、喉が渇くままに枕もとの水を飲んで、それから煙草を一服すったが、二階じゅうはしんと寝静まって夜はもう余ほど更けているらしい。これは寝すごしたと慌てて起き直ると、いつも自分を起してくれるはずのお駒は正体もなく眠っていた。
「おい、お駒。早く駕籠を呼ばせてくれ」
云いながら煙管を煙草盆の灰吹きでぽんと叩くと、その途端に彼は枕もとに小さい物の影が忍んでいるのを発見した。うす暗い行燈の光りでよく視ると、それは黄いろい張子の虎で、お駒の他愛ない寝顔を見つめているように短い四足をそろえて行儀よく立っていた。宵にこんな物はなかった筈だがと思いながら、彼はそれを手に取ってながめると、虎は急に眼がさめたように不格好な首を左右にふらふらと揺がした。