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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(四)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 217,272 字 · 434 頁
番頭といっても、まだ二十五六の痩せぎすの男で、わたしは幸八と申します、なにぶんお見識り置きくださいと丁寧に名乗った。丸多の名は半七もかねて知っているので、これも丁寧に挨拶した。
「掛け違ってお初にお目にかかりますが、おまえさんが丸多の番頭さんですかえ」
「番頭と申すのは名ばかりで、まだ昨日きょうの不束者でございます。この後も何分よろしく願います」と、幸八は繰り返して云った。
その暗い顔色をみて、半七は何を頼みに来たのかと考えながら挨拶していると、亀吉が横合いから引き取って啄を出した。
「番頭さんは口が重くって話しにくいと云いますから、わっしから取り次いでも好うがすかえ」
「誰からでもいい。用談の筋道を早く聞かして貰おうじゃあねえか」と、半七は云った。
「実はね、親分。こういうわけですよ」と、亀吉はひと膝ゆすり出て説明した。「丸多の主人がちっと道楽をやり過ぎましてね」
「主人は幾つだ」
「主人は多左衛門といって、ことし四十六だそうです」
「四十六……」と、半七は笑った。「それじゃあ真逆に近所の新宿へ熱くなったというわけでもあるめえ。一体どんな道楽が過ぎたのだ」
亀吉の説明によると、その道楽は絵馬の蒐集であった。