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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(四)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 217,272 字 · 434 頁
渡辺綱が羅生門の鬼退治に出て行ったあとを見送って、平井ノ保昌や坂田ノ金時らが「綱の奴め、首尾よく鬼を退治して来るだろうか」などと噂をしているというのである。古今変らぬ人情で、今夜も師匠や喜平次らの出て行ったあとで、他の十五、六人の門弟はその噂に時を移した。御新造のお常も出て来て、その噂の仲間入りをした。縁の下にはこおろぎが鳴いて、この頃の夜寒が人々の襟にしみた。
「先生は遅いな」と、一人が云い出したのは、今夜ももう四ツ(午後十時)に近い頃であった。
「そうですねえ」と、お常もやや不安そうに云った。
鰻縄手から富士裏まではさのみの道程でもないから、往復の時間は知れたものであるが、まだ夜が更けたというほどでも無いので、例の怪しい声が聞えないのではないか。師匠らはそれを待っているために、むなしく時を費しているのであろう。そんな意見が多きを占めて、さらに半刻ほどを過ごしたが、左内らはまだ帰らなかった。
「どうしたのでしょうねえ。まさか間違いはあるまいと思いますけれど……」と、お常は又もや不安らしく云った。
こうなると、御新造の手前、人々も落ち着いてはいられなくなったので、念のために様子を見て来ようと、七、八人がつながって出た。