輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
線上閱讀梅崎 春生《桜島・日の果て・幻化(さくらじま)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 169,810 字 · 345 頁
堤に沿って点々とニッパ小屋が見える。
「あっちに行って聞けと言うのかも知れません」
高城にうながされて宇治は呆然と歩を踏み出した。土手の上はいっぽん道が白い薄明の間を伸び、土手は大きく迂回していた。河もそれにつれて曲り、粗末な仮橋がかかって居る。高城が先に立った。悪寒が背を絶えず走り、力無い眼を見開いて宇治は引きずられるように歩いた。海軍の兵隊が磧で何人も、何の為にするのか石を運搬しているのが遠く視野をかすめた。
暫く行くと堤下のニッパ小屋の入口に人影があった。何の気なしに宇治は見て過ぎようとした。それは住民の女だった。その瞬間にただならぬ気配で高城が振りむいた。
「あの女です」
緊張のために押しつぶされたような声であった。はっとして宇治は目を凝らした。夕闇がかなり深く立ちこめているので女の表情は定かでないが、一瞬の印象はまさしくあの女であったのである。何故とはなく全身に凝縮した感じが起って、無意識に軍刀の柄を押え、宇治は堤の斜面を辷りながらかけ降りた。高城がすぐ続いた。
女はぼんやり柱にもたれて河面を眺めていたらしかったが、堤をかけ降りる気配に驚いて鋭く振りむいた。