輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

線上閱讀梅崎 春生《桜島・日の果て・幻化(さくらじま)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 169,810 字 · 345 頁

青空文庫

やはり坊津の、山の上にある挺身監視隊長、谷中尉と言った。背が低い、がっしりした、眼の大きい男である。二十三四歳に見えた。先日、博多が空襲にあった際、博多武官府にいたと言う。その時の話をした。博多は、私の古里であり、博多にいる私の知己や友人のことを思い、心が痛んだ。

「美しく死ぬ、美しく死にたい、これは感傷に過ぎんね」

谷中尉は、煎豆の殻をはき出しながら、じろりと私の顔を眺め、そう言った。

日が暮れた。そして一泊することに、心をきめた。遊ぼうと言うので、宿屋を出て、駅の裏手にあるという妓楼に出掛けて行った。宿の婢に教えられた家は、暗い路の、生籬に囲まれた、妓楼らしくもないうらぶれた一軒屋である。前の崖の下を、煙突から赤い焔をはきながら、機関車がゆるゆる通る。パッと火の粉が線路に散ったりした。星の見えない空には厚い雲の層が垂れているらしかった。

妓が一人しか居なかったのだ。そして、酒はなかった。谷中尉の発議で、私が籤をつくった。此のような場所で女と寝るのも侘しく、私は短い籤を引きたいと願った。しかし、私が長い籤にあたった。谷中尉は、お茶を一杯飲んだだけで、では、とわらいながら立ち上った。