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えどかとうきょうか

梵雲庵雑話

淡島 寒月

線上閱讀淡島 寒月《梵雲庵雑話(えどかとうきょうか)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 33,841 字 · 73 頁

青空文庫

曲馬が東京に来た初めでしょう。仏蘭西人のスリエというのが、天幕を張って寺内で興行しました。曲馬の馬で非常にいいのを沢山外国から連れて来たもので、私などは毎日のように出掛けて、それを見せてもらいました。この連中に、英国生れの力持がいて、一人で大砲のようなものを担ぎあげ、毎日ドンドンえらい音を立てたので、一時は観音様の鳩が一羽もいなくなりました。

それから最後に狸の騒動があった話をしましょう。ただ今の六区辺は淋しい処で、田だの森だのがありました。それを開いたのは、大橋門蔵という百姓でした。森の木を伐ったり、叢を刈ったりしたので、隠れ家を奪われたと見えて、幾匹かの狸が伝法院の院代をしている人の家の縁の下に隠れて、そろそろ持前の悪戯を始めました。ちょっと申せば、天井から石を投げたり、玄関に置いた下駄を、台所の鍋の中に並べて置いたり、木の葉を座敷に撒いたり、揚句の果には、誰かが木の葉がお金であったらいいといったのを聞いたとかで、観音様の御賽銭をつかみ出して、それを降らせたりしたので、その騒ぎといったらありませんでした。前に申したスリエの曲馬で大砲をうった男が、よし来たというので、鉄砲をドンドン縁の下に打込む、それでもなお悪戯が止まなかったので、仕方がないから祀ってやろうとなって、祠を建てました。