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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
線上閱讀下村 湖人《次郎物語(じろうものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 146,773 字 · 294 頁
お浜はその時、次郎の顔を見ていたが、その眼は、いくぶん涙ぐんでいるようだった。
「すると結局、六人になってしまったな。大巻では、だしぬけに大変だろう。ご馳走はこちらから用意して行くんだな。」
「六人っていうと?」
と、お祖母さんがまたけげんそうな顔をした。
「恭一とお鶴、それで六人でしょう。」
「おや、おや、恭一も行くのかい。」
「次郎がみんなをひっぱり出すもんですからね。」
「そうかい。……次郎がね。……そうかい。」
と、お祖母さんは、やたらにうなずいた。
「どうだ、次郎、ついでにお祖母さんもひっぱり出しちゃあ。」
「ええ――」
次郎は顔を少しあからめて、お祖母さんの顔を見ていたが、
「そうだなあ、お祖母さんも行くといいや。ねえ、恭ちゃん。」
恭一はにがい顔して、じっと次郎を見つめた。見つめられて、次郎ははっとしたように目を伏せた。
(ませっくれ!)
彼は恭一にそう叱られているような気がしたのである。
俊亮も、二人の様子にすぐ気づいた。彼は、しかし、今は次郎の努力を買ってやりたい気持でいっぱいだった。いつもなら、次郎のませっくれた態度が誰よりも気になる彼だったが、なぜか今日は、次郎をそんなふうにみる気には、少しもなれなかったのである。