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けっせんかわなかじま うえすぎけんしんのまき
決戦川中島 上杉謙信の巻
線上閱讀坂口 安吾《決戦川中島 上杉謙信の巻(けっせんかわなかじま うえすぎけんしんのまき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,278 字 · 19 頁
余は信玄が地蔵峠を越えて松代にか、北国街道に沿うて川中島にか現れることを予期していた。即ち信玄の進路はおのずから余の背面に迫るのだ。なぜならば、余の背面は全てこれ信玄の勢力範囲であったからだ。余は背面よりの奇襲を承知の上で、わざと不安定な陣をしいた。
しかるに信玄は背面より来らずに、二万の兵を率い、突如茶臼山に現れて本営をしいたのである。八月二十四日であった。
無念山蛸を斬りそこなう
信玄が茶臼山に現れて本営をしいたため、ここに奇妙な十字形がつくられたのである。即ち南北には、妻女山なる余の本営八千人と善光寺の五千人と相対し、東西には東の海津城と西の茶臼山とに甲州勢が相対している。その中間の平野が無人の川中島であった。両軍いずれも左右に敵をうけて連絡が不自由となった。
特に余の軍勢は大荷駄を善光寺に残したために兵粮があと十余日しかつづかない。ために余が本営の将兵に動揺が起った。
「もしも善光寺の味方が撃滅されて大荷駄を失えば我々は食糧もなく孤立しなければなりません。すみやかに春日山の留守兵二万の救援をもとむべきではありませんか」
宇佐美はかく余に進言した。