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かいじょうのみち
海上の道
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《海上の道(かいじょうのみち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 182,344 字 · 353 頁
稲魂命すなわちウガノミタマを中心として説いてみたいのだが、あまりにも紙と時とを費して堪え難いので、残りは次巻に譲ることを乞うのほかはない。本章にも述べ尽さなかった箇条の多々あるのに心づくが、中でも必要だったのは十一月下卯、すなわち満月の前二日から、下弦の後二日までの間に、年によってちがう日を、かねて新嘗の日と定められてあった理由である。十干十二支の組合せをもって年を算え、また日を算える方式が、我朝に採用せられたのはずっと後のことで、もとはただ期に臨んで、日の吉凶を卜定する習わしであったのが、それでは準備にも差支がある故に、あらかじめその日をきめておこうとなされたので、すなわち卯という日のいつも吉日であることが、あの当時は少なくとも知られていたのである。大きな神社の中にも、卯の日を例祭の日としたものが幾つかあるが、それよりも著しいのは田の神の祭、または稲作に伴なう色々の行事、および正月の年の神の去来について、特に卯の日を重視する風は、現在もなお到る処に残っている。理由はまだ是から尋ねて行かなければならぬが、新嘗の日を卯の日と定められた動機にも、おそらくは関聯するものがあったのである。