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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《潜航艇「鷹の城」(せんこうてい「ハビヒツブルグ」)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 132,395 字 · 263 頁
「気がつきませんで……。またなにかお訊ねになりたいことが、あるかとも思いまして。それより私、申し上げたいことがございますの」
「と云うと……」
「それは、父のことなんですけど、とうに母の口からお聴きかもしれませんが、ここ十四、五日の間というものは、きまって暁け方になると、五時を跨いで戸外に出るのです。御存知のとおりの不自由な身で、それがどうあっても、行かねばならぬものと見えまして、戻って来ると、それは息をきらして、暑苦しそうに頬を赤くしているのですわ。それでも、私に訊ねられますと、妙にドギマギして、なあに、入江の曲り角まで行って来たのさ――と答えるのでしたが、また妙に、その不思議な行動が一日も欠かしませず、実は、今朝がたまで続いていたのです。その入江の角というのを、御存知でいらっしゃいますか。裏の防堤がずうと伸びて、岬を少し縫ったところで終っているのですが、その曲ろうとする角が、そうなのでございます。その崖下には、今月の一日から『鷹の城』がつながれているのですわ」
「ふむ、『鷹の城……』
検事は莨の端をグイと噛み切ったほどに、驚かされてしまった。
「すると、その辺のことを、正確に記憶していますか。