輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
こぞうのゆめ
潤一郎ラビリンスV――少年の王国
谷崎 潤一郎
線上閱讀谷崎 潤一郎《潤一郎ラビリンスV――少年の王国(こぞうのゆめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 71,989 字 · 144 頁
それがちょうど、歯の痛みか何かのように、チクチクと貝島の神経を苛立たせるので、彼は内々癇癪を起しながら、話声が聞える度びに急いで其の方を振り向くと、途端にパッタリと止んでしまって、誰がしゃべって居るのだかは容易に分らなかった。けれども其れは、教室の右の隅の方の、沼倉の机の近所から聞えて来るらしく、しゃべって居る者はたしかに沼倉に違いないと推量されて来た。若しも其の者が沼倉以外の生徒であったならば、殊にいたずら者の西村なぞであったらば、貝島は直ぐにも向き直って叱りつける所だけれど、なぜか彼には沼倉と云う子供が叱りにくいような気がした。何だか斯う、子供で居て子供でないような、煙ったい人間のように感ぜられて、叱るのが気の毒でもあれば不躾でもあるかの如く思われたのであった。一つにはまだ馴染みの薄い為めでもあるが、彼は今日まで沼倉に対して、教室での質問以外に、親しみ深い言葉を交えた事は一度もなかった。で、成るべくならば叱らずに済ませよう、そのうちには黙るだろう、と、出来るだけ貝島は知らない風を装って居ると、反対に話声はだん/\無遠慮に高まって来て、遂には沼倉の口を動かす様子までが、彼の眼に付くようになった。