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こぞうのゆめ

潤一郎ラビリンスV――少年の王国

谷崎 潤一郎

線上閱讀谷崎 潤一郎《潤一郎ラビリンスV――少年の王国(こぞうのゆめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 71,989 字 · 144 頁

青空文庫

として気に入られるように努めなければならない。………

「そこで先生は、お前が此の後もます/\今のような心がけで、生徒のうちに悪い行いをする者があれば懲らしめてやり、善い行いをする者には加勢をして励ましてやり、全級が一致してみんな立派な人間になるように、みんなお行儀がよくなるように導いて貰いたい。此れは先生がお前に頼むのだ。とかく餓鬼大将と云う者は乱暴を働いたり、悪い事を教えたりして困るものだが、お前がそうしてみんなの為めを計ってくれゝば先生もどんなに助かるか分らない。どうだね沼倉、先生の云ったことを承知したかね」

意外の言葉を聴かされた少年は、腑に落ちないような顔をして、優和な微笑をうかべて居る先生の口元を仰いで居たが、暫く立ってから、よう/\貝島の精神を汲み取る事が出来たと見えて、

「先生、分りました。きっと先生の仰っしゃる通りにいたします」

と、いかにも嬉しそうに、得意の色を包みかねてニコニコしながら云った。

貝島にしても満更得意でないことはなかった。自分はさすがに、児童の心理を応用する道を知って居る。一つ間違えば手に負えなくなる沼倉のような少年を、自分は巧みに善導した。