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こぞうのゆめ
潤一郎ラビリンスV――少年の王国
谷崎 潤一郎
線上閱讀谷崎 潤一郎《潤一郎ラビリンスV――少年の王国(こぞうのゆめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 71,989 字 · 144 頁
疑い出せば其の外にもまだ怪しいことがいくらもある。どうもあんまり様子がおかしいから、折を窺って糺明してやろうと考えて居る矢先に、今日も亦、五十銭もするような立派な扇子を持って帰って来た。聞いて見るとやっぱり友達に貰ったのだと云う。それなら何処の何と云う人に、いつ貰ったのだと云っても、黙ってうつむいて居るばかりで容易に返辞をしない。いよ/\不審なので厳しく問い詰めた結果、漸く貰ったのではなく買ったのだと云う所まで白状させた。しかし、そんな買い物をするお金を、どうして持って居るのだか、それだけはいくら口を酸っぱくして叱言を云っても実を吐かない。たゞ「人のお金を盗んだのではありません」と、飽くまでも強情に云い張るばかりである。
「盗んだのでない者が、どうしてお金なんぞ持って居るのだ。さあ其れを云え! 云わないかッたら!」
祖母は斯う云って、激昂の餘り病み疲れた身を忘れて、今しも啓太郎を折檻しようとして居るのであった。
貝島は、話を聞いて居るうちに、体中がぞうッとして水を浴びたような心地になった。
「啓太郎や、お前はなぜ正直にほんとうの事を云わない? 盗んだのなら盗んだのだと、真直ぐに白状しなさい………お父さんは、お前にも餘所の子供と同じように好きな物を買ってやりたいのだが、此の通り内には多勢の病人があるのだから、なか