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こぞうのゆめ
潤一郎ラビリンスV――少年の王国
谷崎 潤一郎
線上閱讀谷崎 潤一郎《潤一郎ラビリンスV――少年の王国(こぞうのゆめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 71,989 字 · 144 頁
祖母に見咎められた色鉛筆だの餅菓子だの扇子だのゝ外にも、此れ迄にさま/″\な物品を買い求めて居ると云う。
しかし沼倉は、外の命令は兎に角として此の貨幣制度だけは、先生に見付かると叱られはせぬかと云う心配があった。で、決して此のお札を先生の前で出してはならない、先生に知れないようにお互に注意しようじゃないかと云う約束になって居た。若しも云付ける者があったら厳罰に処する旨の規定さえ出来て居た。啓太郎は一番嫌疑を蒙り易い地位に居るので、不断から気を揉んで居たのだが、今夜図らずも盗賊の汚名を着せられた口惜しさに、とう/\白状してしまったのである。彼が散々強情を張ったり、声を挙げて泣いたりしたのは、明日沼倉に厳罰を受けるのが恐いのであった。
「何だ意気地なしが! そんなに泣く事はないじゃないか。沼倉がお前をいじめたら今度はお父さんが沼倉を厳罰に処してやる。ほんとうにお前たちは飛んでもない事だ。たといお前が何と云ってもお父様は明日みんなに叱言を云わずには置きません。お前が云付け口をしたんだと云わなけりゃいゝじゃないか」
父親が叱り付けると、啓太郎は其の言葉を耳にも入れずに首を振りながら、