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てりはきょうげん

照葉狂言

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《照葉狂言(てりはきょうげん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 49,730 字 · 100 頁

青空文庫

木戸に懸る時、木戸番の爺われを見つつ、北叟笑むようなれば、面を背けて走り入りぬ。

人大方は来揃いたり。桟敷の二ツ三ツ、土間少し空きたる、舞台に近き桟敷の一間に、女はわれを導きぬ。

「坊ちゃん、じゃあね、ここで御覧なさいまし。」

意外なる待遇かな、かかりし事われは有らず。平時はただ人の前、背後、傍などにて、妨とならざる限り、処定めず観たりしなるを。大なる桟敷の真中に四辺をして、小き体一個まず突立てり。

とばかりありて、仮花道に乱れ敷き、支え懸けたる、見物の男女が袖肱の込合うたる中をば、飛び、飛び、小走に女の童一人、しのぶと言うなり。緋鹿子を合せて両面着けて、黒き天鵞絨の縁取りたる綿厚き座蒲団の、胸に当てて膝を蔽うまでなるを、両袖に抱えて来つ。

見返る女に顔を見合せて、

「あのね、姉さんが。」と小声に含めて渡す。

受取りて女は桟敷に直しぬ。

「さあ、お敷き遊ばせよ。」

われはまた蒲団に乗りて、坐りもやらで立ったりき。女は手もて足を押えて顔を見て打笑みたり。

「さあ、おゆっくり。」

われは据えられぬ。

「しのぶさん、お火鉢。」

「あい。」と云いしが※(「目+句」、第4水準2-81-91)して、土間より立ったる半纏着の壮佼を麾き、