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てりはきょうげん

照葉狂言

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《照葉狂言(てりはきょうげん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 49,730 字 · 100 頁

青空文庫

重きこと山のごとき時あり、見物は襟を正しき。うつくしきこと神のごとき時あり、見物は恍惚たりき。かくても見てなお乞食と罵る、さは乞食の蒲団に坐して、何等疚しきことあらむ。われは傲然として答えたり。

「可いよ乞食、乞食だから乞食の蒲団に坐るんだ。」

「何でえ。」

国麿は眼を円にしつ。

「何でえ、乞食だな、汝乞食だな、む、乞食がそんな、そんな縮緬の蒲団に坐るもんか。」

「可いよ、可いよ、私、私はね、こんなうつくしい蒲団に坐る乞食なの。国ちゃん、お菰敷いてるんじゃないや。うつくしい蒲団に坐る乞食だからね。」

国麿は赤くなりて、

「何よウ言ってんだい。おい貢、汝そんなこと言って可いのかな、帰途があるぜ。」

威されてわれはその顔を見たり。舞台は暗くなりぬ。人大方は立出ぬ。寒き風場に満ちて、釣洋燈三ツ四ツ薄暗き明映すに心細くこそなりけれ。

「帰途があるって、帰途がどうしたの、国ちゃん。」

国麿は嘲笑えり。

「知ってるだろう。鳥居前の俺が関を知ってるだろう。」

手下四五人、稲葉太郎荒象園の鬼門彼処に有りて威を恣にす。われは黙して俯向きぬ。国麿はじりりと寄りて、

「皆知ってるぜ、おい、皆見ていたぜ。