輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《牢獄の花嫁(ろうごくのはなよめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,213 字 · 325 頁
郁次郎から自白の口書をとった上は、すぐに、江戸表へさし立てましょう」
「やっかいな下吟味がすんで、なんだか、肩の重荷が半分以上も下りた気がいたす。それではすぐに、用意を申しつけましょう」
その準備は早かった。
いつでもというように、部下の者は、七日も前から待ち構えていたので。
わずかな間に、げっそりと衰えた塙郁次郎は、やがて、軍鶏籠の人となった。警固は、二十人余りの捕手。
羅門塔十郎と東儀与力が先頭に立った。加山耀蔵は駕わきに付く。そして、江の島の渡舟から腰越街道の方へ渡ってゆくと、もう海辺も路傍も人で埋まって、
「指切りの郁次郎だ」
「江の島の巫女殺しだ」
と、たいへんな騒ぎである。
中には、
「憎い奴だ」
と、軍鶏籠を目がけて、石を抛りつける者がある。唾を吐いて、罵る者がある。
「ばか者ッ」
と、そんな時、加山耀蔵は思わず腹の底から呶鳴りつけた。――恩師の息子を縛げて警固してゆく彼の心には、人知れぬ悩みがあった。道中も、怏々として勝れない顔いろ。
その晩は、保土ヶ谷泊り。
神奈川の陣屋に着く予定だったが、ちょうど、国元へ帰る備前岡山侯が滞泊しているので、わざと、囚人駕を避けて、一つ手前の保土ヶ谷に泊ったのである。