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ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《牢獄の花嫁(ろうごくのはなよめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,213 字 · 325 頁

青空文庫

「数年の間、身が落胤をたずねるために、国家老郷左衛門の手を通じて莫大なる手当を与えておいたに、汝は、それをよいことにして、空しく、徒食しておったのであろう」

「滅相もないおことば」

「では、今日まで、何をいたしたか」

「実は、まだ確証の揃うまではと、ご披露はいたしませぬが、たった一人、ご落胤の女性を、見出してはござりますので」

「なんじゃ? ……」

と、龍山公はたちまち、喜悦を満面にみなぎらして、脇息から乗り出された。

「羅門、それは真か。なぜ、そうならそうと早くいわぬ。――この際じゃ、きびしい証は多く要らぬ。何ぞ一つでも、たしかに、この龍山の血統じゃといえる印さえあればよい。してその女は、いずれにおるか」

「ただ今は、蔵前片町のほとりに、侘しくお住居でござります」

「ほう……何をして」

「鷺江雪女と申す笛師の弟子となって、舞曲を習っておりましたが、てまえが、それと知りました後は、世間に知れては悪しと存じて、何事も遊ばさずに」

「年は。また名は」

「ちょうど二十四歳。お名は、玉枝様と申しまする」

「何か、血統という証拠は」

「ご系図一巻」

「なに系図書、それは立派な証拠だ。