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ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《牢獄の花嫁(ろうごくのはなよめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,213 字 · 325 頁

青空文庫

――こうして、女笛師の鷺江と密通しておりながら、一方には、何食わぬ顔をして、花世とも恋をし遂げようという図太い企みが、ようやく歴然として参った。最前の深編笠は、たしかに塙郁次郎! もう事件は解決したも同様だ! 一刻も、猶予は相成らん、目をつぶって、私情を捨てることだ」

と、意気込んだ。

然り、事件は一歩すすんだ。

自身番の番太郎に手伝わせて、掏児の別府新七を、奉行所の揚屋へ差送った後、東儀与力は、もはや暗黒の迷宮から曙光をつかんだような気持で、さらに、次の電撃的な飛躍の手順を立てた。

一 今夜のうちに、両替屋の佐渡平の店を訪れて、為替札の実否を調べておくこと

一 同時に、主人の佐渡屋和平は、鷺江お雪の笛の門人であり、かつ彼女の殺害された十五夜の同日、麻布の家で死体となっていた町人に相違なければ、この件も、同時に、再吟味をとること

一 夜半には、加山、波越の両名にて、ふたたび博物会の蝋人形の囲い場を見張ること

一 明朝、寝込みに、或いは都合によって夕刻、すべての証拠がため整い次第に、東儀与力自身、奉行直筆の差紙をふところにして、富武五百之進の屋敷に赴き、塙郁次郎を御用拉致すること