輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

がらすどのうち

硝子戸の中

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《硝子戸の中(がらすどのうち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 52,702 字 · 105 頁

青空文庫

二十六

死去の広告中に、私の名前を使って差支ないかと電話で問い合された事などもまだ覚えている。私は病院で「ある程の菊投げ入れよ棺の中」という手向の句を楠緒さんのために咏んだ。それを俳句の好きなある男が嬉しがって、わざわざ私に頼んで、短冊に書かせて持って行ったのも、もう昔になってしまった。

二十六

益さんがどうしてそんなに零落たものか私には解らない。何しろ私の知っている益さんは郵便脚夫であった。益さんの弟の庄さんも、家を潰して私の所へ転がり込んで食客になっていたが、これはまだ益さんよりは社会的地位が高かった。小供の時分本町の鰯屋へ奉公に行っていた時、浜の西洋人が可愛がって、外国へ連れて行くと云ったのを断ったのが、今考えると残念だなどと始終話していた。

二人とも私の母方の従兄に当る男だったから、その縁故で、益さんは弟に会うため、また私の父に敬意を表するため、月に一遍ぐらいは、牛込の奥まで煎餅の袋などを手土産に持って、よく訪ねて来た。

益さんはその時何でも芝の外れか、または品川近くに世帯を持って、一人暮しの呑気な生活を営んでいたらしいので、宅へ来るとよく泊まって行った。