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らしょうもんのあとに
羅生門の後に
線上閱讀芥川 竜之介《羅生門の後に(らしょうもんのあとに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 1,430 字 · 3 頁
この集にはいっている短篇は、「羅生門」「貉」「忠義」を除いて、大抵過去一年間――数え年にして、自分が廿五歳の時に書いたものである。そうして半は、自分たちが経営している雑誌「新思潮」に、一度掲載されたものである。
この期間の自分は、東京帝国文科大学の怠惰なる学生であった。講義は一週間に六七時間しか、聴きに行かない。試験は何時も、甚だ曖昧な答案を書いて通過する、卒業論文の如きは、一週間で怱忙の中に作成した。その自分がこれらの余戯に耽り乍ら、とにかく卒業する事の出来たのは、一に同大学諸教授の雅量に負う所が少くない。唯偏狭なる自分が衷心から其雅量に感謝する事の出来ないのは、遺憾である。
自分は「羅生門」以前にも、幾つかの短篇を書いていた。恐らく未完成の作をも加えたら、この集に入れたものの二倍には、上っていた事であろう。当時、発表する意志も、発表する機関もなかった自分は、作家と読者と批評家とを一身に兼ねて、それで格別不満にも思わなかった。尤も、途中で三代目の「新思潮」の同人になって、短篇を一つ発表した事がある。が、間もなく「新思潮」が廃刊すると共に、自分は又元の通り文壇とは縁のない人間になってしまった。