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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
線上閱讀火野 葦平《花と龍(はなとりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 頁
パナマ丸は、ブイに、繋留された。
永田組の伝馬船に、「友田」方の伝馬船が、漕ぎ寄って来た。舳に、提灯を高くかかげた平尾角助が、突っ立っている。
「永田杢次は、居らんか?」
二隻の舷が接すると、角助が呶鳴った。不潔な雑巾のような、醜悪な正方形の顔に、陰険で、狡猾そうな眼が光っている。
金五郎は、デッキから、棚伝いに降りて来て、角助と相対した。
「角さん、なんか、用ですか?」
「お前に、用はない。永田の親方を出せ」
「わたしが、現場の責任者じゃけ、仕事の話なら、わたしが聞きます」
「下ッ端は、引っこんどれ。永田組の仕事の話は、永田の親方にするんじゃ」
「角さん、それでは、筋が通らんですよ」
「なんでや?」
「あんただって、友田さんでも、ドテラ婆さんでもないじゃないか。それとも、その伝馬船の人たちは、平尾組の若い衆かね?」
平尾角助は返答に窮して、眼を白黒させた。頭が悪いので、条理を立てて来られると、すぐに、言葉に詰まる。
「わたしも、下ッ端なら、あんたも、いわば、下ッ端。そんなら、下ッ端同士で、話は出来る筈です」
金五郎は、静かな語調でいった。
「よし、そんなら、話をする。