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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
線上閱讀小山 清《落穂拾い・犬の生活(おちぼひろい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 頁
私は薪を拾い、水を汲み、畑を耕すだろう。私は「ピグミーになりたい。」など勿論云わないだろう。また青年はどんな本を読んだらいいかなど問いかけもしないだろう。居士の傍にいるだけで、その声をきいているだけで、私の心は満たされるだろう。時に居士が私を呼んで論語を繙き教えてくれるならば、私はどんなに嬉しいことだろう。居士の一言一句に私は耳を傾けるだろう。そうして私の心はいつもあるべきところにあるだろう。
夏のことであった。私が屋根裏部屋で昼寝をしていると、階下から「案山居士、いるかい?」と呼ぶ鳴尾君の声がした。鳴尾君が私のことをそんな風に呼ぶのは、いつもなにかある時に限る。下りていって見ると、鳴尾君はいやにそわそわしている。
「ばかに興奮しているじゃないか?」
と云うと、
「宋淵坊が来たんだ。」
と眼を輝かせている。中川宋淵さんは介山居士の友達で、その頃「隣人之友」に毎号俳句を寄稿していた。時には行脚先から音信が舞い込んだりして、私はその稀な古調を愛読していたものだ。
「どんな人だ。」
「ま、会ってごらんなさい。」
私は鳴尾君の顔を見て、この輝きが宋淵坊の照返しだとしたら、これは相当なものだと思った。