輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

線上閱讀小山 清《落穂拾い・犬の生活(おちぼひろい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 頁

青空文庫

まったくそうらしかった。風呂敷包の中身は私が塾を辞する時鳴尾君に預けていった本である。千年樫の下にて、フランシス・ド・サール書簡集、秋元巳太郎氏の伝道日記、和讃集等々である。サール司教がシャンタル夫人に与えた書簡集は鳴尾君が私に餞別にくれたものである。塾にいる時私が一寸のぞいてみて、チェホフに似ているなどひどいインチキを云った本である。お巡りさんは一冊一冊手に取って見ていたが、どれもが赤い本でも黒い本でもなく、むしろ抹香臭いものであるのに怪訝な面持になった。やがて自分の思い違いに気づいたけしきで、もう帰ってよろしいと云った。私達は今更お茶を呑みなおす気にもなれず、交番の前で左右に別れた。

次にそうして最後に私が鳴尾君を見たのは、高倉先生が逝くなって、その葬儀が信濃町教会で執行された時であった。葬儀委員長は田川大吉郎氏であったか、それとも斎藤勇氏であったか、私の記憶はあやふやである。高倉先生の柩を担うお弟子さん達の中に鳴尾君はいた。私はふいに鳴尾君が顔を顰めるのを見た。大勢で担っているのに柩が重いわけはない。むしろ先生の遺骸は軽ろきに失したのであろう。