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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

線上閱讀小山 清《落穂拾い・犬の生活(おちぼひろい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 頁

青空文庫

そうしてこのことが鳴尾君の顔を顰めさせたのであろう。その日私は鳴尾君と遠くから目礼し合っただけで言葉は交さなかった。

その後私の生活は急速にひどくなった。住処も転々と移り変った。

「その気になったらすぐ帰っていらっしゃい。」そう云った田中さんの声音を私は何度も思い起した。私もまた「浮草」の生れつきであった。そういう中で私は鳴尾君が松江教会の副牧師になって赴任したことを風の便りに聞いた。しばらくして私はまた鳴尾君が病を得て郷里の富貴村で急逝したことを耳にした。介山居士が鳴尾君の夭折をいたく惜しまれたという話も伝え聞いた。

私は西隣塾を辞して間もなく鳴尾君から手紙をもらったが、その中にこんなことが書いてあったのを覚えている。断るまでもなく原文の通りではない。

「三家三勇士の一人は紀伊の某という若侍だ。三十三間堂で通し矢を試みて、始はうまく的を射ぬいたが、そのうち放つ矢がみんな的を外ずれるようになった。絶望して腕を拱く折、始終を物陰で見届けていた、これも三勇士の一人である尾張の某という侍が出てきて、小柄で腕の鬱血をとりのぞいてくれる。そこでまた試みると、こんどは百発百中であったという。