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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《蔦葛木曽棧(つたかずらきそのかけはし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 頁

青空文庫

とまたすぐに森蔭から武者之助を先頭に手下の者がこそこそと右門に近寄って来た。武者之助はまたも云うのであった。

「右門殿、右門殿、いかがでござる。もう強情はおやめなされい! たとえ貴殿が強情を張って、木曽まで歩いて行かれるにしても、容易のことでは行かれますまい。我らはどこまでも跡を追い、貴殿が馬に乗られるなら我らも馬に乗って追い、貴殿が輿で行かれるなら我らも輿で追っかけ申す――またもし旅宿へ泊まられるなら同じ旅宿へ我らも泊まり、貴殿に熟睡はさせますまい――こうと決心したからには、是が非でも決心を貫くのが我々冠者党の主意でござる!」

右門は返辞さえしなかった。ただ端然と腰かけたまま固くその眼を閉じている。眠っているようにも思われる。

武者之助はじりじりと近寄った。手下の者も近寄って来た。グルグルと右門を囲繞して次第次第に押し寄せて来た。とうとう右門と人垣との距離が三間足らずに迫って来た。武者之助はキッと鋭い眼で右門の様子を打ち見守り、乗ずべき隙がちょっとでもあったら飛びかかろうと身構えた。

忽然、その時どこからともなく礫がバラバラと降って来て、武者之助はじめ手下の者どもは、肩を打たれ背を拉がれ、手足を砕かれる者さえあった。