輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《蔦葛木曽棧(つたかずらきそのかけはし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 頁
「いかにもありそうな事じゃのう」
カラカラと三太夫は笑ったが、
「そこがお大名の値打ちじゃの。自分の館の雨戸の数を知らぬというのは面白い。しかし一方から云う時はそれが失敗の基とも云える――それはとにかく雨戸の数が九十九あるのはよくござらぬ。すべて法術というものは、偶数を忌んで奇数を好み、奇数奇数と目差して進む。例えば屋内へ忍び込む時には二で割り切れぬ余分の数、すなわちもしも雨戸の数が九十九なれば二で割る時は、四十九となって一を残す。残った一の雨戸を開けて易々と屋内へはいり申す。それ故九十九は不吉でござる。がしかし不吉のその数も手段を加えれば吉ともなる。手段というのは引っ外ずすことじゃ」
こう云うと三太夫は一つの雨戸へ、両手を掛けると思ったがその一枚を引っ外ずした。
開いた雨戸の間から、裏庭の様子を打ち眺めて、三太夫はしばらく立っていた。子の刻を過ごした雨後の庭園は、鬱蒼と繁った木立に蔽われ、所々に築山を見せ、深夜の月に照らされた鉛色の池を一方に湛え、淅瀝たる秋風の渡るまにまに、竹の林は唸りを上げ、木立の間に隠見するのは天主閣に燃える篝の火か、天主の頂きに低く垂れて光を発すは海王星か、深沈として人影なく、時々夜鳥の啼く声ばかりが四辺の静寂を破っている。