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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《蔦葛木曽棧(つたかずらきそのかけはし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 頁

青空文庫

と鳰鳥は躊躇した。

「ほんとによろしいのでございましょうか。あなたに迷惑がかかりましたら、それこそお気の毒でございますわ」

「いいえ大丈夫でございますの。なんのそんなことがございましょう。妾はここでは誰にもまして、勢力があるのでございますもの。さあさあ早く着換えましょう」

そこで二人は衣裳を交換た。

「こちらへ、こちらへ」

と云いながら、姫は鳰鳥を誘って、隣りの部屋へはいって行った。

そこには豪奢な寝台があった。

「お寝っていらっしゃいましこの寝台へ。……そうして誰が参っても、この氈で顔を隠し、じっと黙っておいで遊ばせ。……すぐに帰って参ります」

姫は被衣を頭から冠り、寝部屋を出、居間を抜け、やがて戸を開けて廊下へ出た。

そこに織子が待っていた。

「鳰鳥様でございますか。こちらへおいでなさりませ」

こう云って織子は先へ立った。

姫は黙って頷いて見せた。廊下は茫と薄暗い。

幾廻わりか長い廊下を廻わり、やがて表との境いへ来た。徳川時代の官制で云えば、お錠口へ来たのである。ここから先は男の天地、老女織子でも行くことが出来ない。

「表衆表衆!」と織子が呼んだ。声に応じて若侍が、つと二、三人現われた。