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らん

蘭

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《蘭(らん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,247 字 · 21 頁

青空文庫

三

と生之助は云いよどんだ。

「……だが、正しさを守るために、払う代価は必ず大きい。したがって支払う時期と方法は、よほどたしかでなければならない」

三

須川の屋敷は下元禄にある。別れ道へ来たとき、平三郎は町屋のほうへ足を向けた。まだ、なにか言いたりないようだった。つま先あがりになっている道を、ふたりは九頭竜川のほうへくだっていった。町の軒に、たそがれの色が濃くなり、凍るような風が、家々のひさしや、樹立や、枯れた道草を飄々と鳴らしていた。……暮れていく光のかなたに、ぞっとするほど冷たく川の流れの見えるところまでいって、ふたりは元へひき返した。

「松子へは話をした」別れるとき、生之助はそう言った。「……異存はないようだ」

平三郎は友の顔を見るに耐えなかったのだろう。わきを向いたまま、ありがとうと云った。

生之助は、つとめて脇屋藤六の問題に考えを集めた。藤六は老職のひとり脇屋七郎右衛門の子である。少年のころからからだはすぐれてたくましかったが、頭は単純で、どちらかといえば愚かなほうだった。老職の子で、からだがよくって、愚かだという条件は、しつけが十分でないかぎり、それだけで結果は察しがつく。